だんだんと肌寒くなり、鍋が美味しい季節になってきました。
栄養士として冬の旬の食材について把握しておきたい方もいるのではないでしょうか?
この記事では ・冬が旬の食材の栄養と効能 ・冬にオススメの食材 ・冬の食事のポイント をご紹介します。
冬の旬やオススメの食材について知ることで、献立作成や給食だよりの作成に役立ちます。
ぜひ、ご活用下さい。
冬が旬の食材一覧
旬の食材は通年購入が可能なものでも栄養価が特に高くなり、価格も安くなることが多いです。
今回は給食に取り入れやすい食材をピックアップしました。
野菜
低カロリーで栄養豊富な白菜
白菜は、11月~2月が旬で以下の栄養素が含まれています。
・抗酸化作用や美肌作用があるビタミンC
・カルシウムの吸収を助けるビタミンK
・高血圧やむくみ予防の効果があるカリウム
・貧血予防効果がある葉酸
・整腸作用のある食物繊維
低カロリーで煮物や鍋に入れると量が減るのと食物繊維の効果で満腹感が得られやすいです。ビタミンⅭやカリウムは水に溶けやすいのでスープや煮物にして汁ごと食べるのがオススメです。
消化酵素を多く含む大根
大根は、11月~3月が旬で以下の栄養素が含まれています。
葉の部分
・皮膚や粘膜の状態を健康に維持するビタミンA(βカロテン)
・抗酸化作用や美肌作用があるビタミンC
・高血圧やむくみ予防の効果があるカリウム
・貧血予防効果がある鉄分、骨や歯を作るカルシウム
・整腸作用のある食物繊維
根の部分
・デンプン分解酵素であるアミラーゼ
・タンパク質分解酵素であるプロテアーゼ
・脂質分解酵素のリパーゼ
辛み成分であるイソチオシアネートは殺菌作用や抗炎症作用があるため、風邪やインフルエンザが増える冬にオススメの食材です。
また、イソチオシアネートは野菜の細胞壁が壊れることで作られるので大根おろしにすることで多くのイソチオシアネートを摂取することが出来ます。
鉄分たっぷりのほうれん草
ほうれん草は、11月~2月が旬で以下の栄養素が含んでいます。
・皮膚や粘膜の状態を健康に維持するビタミンA(βカロテン)
・血行をよくする作用があるビタミンE
・貧血予防効果がある葉酸
・カルシウムの吸収を助けるビタミンK
・骨を作ったり筋肉の動きを滑らかにするマグネシウム
ほうれん草に含まれるビタミンⅭは、夏場に収穫したほうれん草と比べ、およそ3倍もの量が含まれているので貧血気味の方にオススメです。
また、鉄分は牛レバーに負けないほど多く、ビタミンCや動物性たんぱく質と一緒に食べることで吸収率が上がります。
たんぱく質もしっかりとれるブロッコリー
ブロッコリーは、11月~3月が旬で以下の栄養素が含まれています。
・抗酸化作用や美肌作用があるビタミンC
・高血圧やむくみ予防の効果があるカリウム
・貧血予防効果がある鉄分と葉酸
他の野菜に比べてビタミンⅭが100gあたり140㎎、タンパク質が100gあたり5.4gと多く含まれており、栄養価が高い野菜です。
目の病気の予防・改善効果があるルテイン、老化防止や美肌効果、がん予防の効果が期待されているスルフォラファンも含まれています。
風邪の強い味方のねぎ
ねぎは、11月~2月が旬で以下の栄養素が含まれています。
・皮膚や粘膜の状態を健康に維持するビタミンA(βカロテン)
・抗酸化作用や美肌作用があるビタミンC
・貧血予防効果がある葉酸
・骨や歯を作るカルシウム
・血液促進や抗菌作用があるアリシン
豚肉に多く含まれるビタミンB1と一緒に食べることで疲労回復効果が期待できます。また、風邪の予防や治療に効果があるネギオールという栄養が含まれています。
熱に強いビタミンⅭをもつれんこん
れんこんは、9月~12月または種類によって11月~2月が旬で以下の栄養素を含んでいます。
・抗酸化作用や美肌作用があるビタミンC
・高血圧やむくみ予防の効果があるカリウム
・止血作用や炎症を抑える効果があるタンニン
・粘膜を保護するムチン
・整腸作用のある食物繊維
ビタミンⅭはれんこんに含まれるでんぷんの作用で加熱に強いです。食物繊維は解消効果がある不溶性繊維が多く含まれています。
果物
ビタミンⅭがたっぷりないちご
いちごは、11月から4月が旬で以下の栄養素を含んでいます。
・抗酸化作用や美肌作用があるビタミンC
・貧血予防効果がある葉酸
・高血圧やむくみ予防の効果があるカリウム
・抗酸化作用や眼精疲労の解消効果があるアントシアニン
・整腸作用のある食物繊維
・虫歯予防効果があるキシリトール
ビタミンⅭの含有量が100g当たり62mgと多く、数個食べれば1日に必要な摂取量100mgを補うことができます。
疲労回復効果抜群のみかん
みかんは、12月~3月が旬で以下の栄養素を含んでいます。
・抗酸化作用や美肌作用があるビタミンC
・整腸作用のある食物繊維
・抗酸化作用と骨の健康に役立つβ-クリプトキサンチン
・疲労回復効果のあるクエン酸
薄皮やすじにも栄養素が含まれているので一緒に食べるのがオススメです。栄養豊富ですが糖質も多く含んでいるので食べ過ぎには注意して下さい。
魚
低脂質高たんぱくの鱈(タラ)
タラは、12月~1月が旬で以下の栄養素を含んでいます。
・貧血予防や神経機能を正常化する効能があるビタミンB12
・骨や歯の成長を促進するビタミンⅮ
・丈夫な骨や歯の形成を促進するリン
・血行をよくする作用があるビタミンE
・抗酸化作用と解毒作用があるセレン
・脳の発達や炭水化物・脂質・タンパク質の代謝を促進するヨウ素
・血中の中性脂肪やコレステロールを減らすDHA
タラは低脂質高たんぱくで消化が良いため、胃腸が弱っている時の食事にオススメです。
成長期の子どもにオススメの鰤(ブリ)
ブリは、12月~1月が旬で以下の栄養素を含んでいます。
・身体を健康的で正常な状態に保つタウリン
・脳の血管を強くするパルミトレイン酸
・血中の中性脂肪やコレステロールを減らすDHA
・脂質や糖質の代謝を促進するナイアシン
・高血圧やむくみ予防の効果があるカリウム
・貧血予防効果がある鉄分
・骨や歯の成長を促進するビタミンⅮ
・脂質の代謝の促進や子どもの発育を助けるビタミンB2
栄養価は高いですが、脂質が多くカロリーも高いので食べ過ぎには注意が必要です。
寒さに負けない食事のポイント
冬は寒さによる免疫力の低下や乾燥によって風邪をひきやすい時期です。
また、インフルエンザも流行ります。
しっかり栄養をとって予防していきましょう!
朝ごはんをしっかり食べる
食べたものが代謝されて熱を産生し体温が上がることを食事誘発性熱産生といいます。特にたんぱく質による食事誘発性熱産生が高いので、朝食にたんぱく質を摂ることが大切です。朝食をしっかりすることで朝から体温が上がった状態になります。
体を温める食事を意識する
しょうがを乾燥・加熱すると完成するショウガオールは体を温める効果があります。生のしょうがに多く含まれるジンゲロールは発汗性があり、体温を下げてしまうので注意が必要です。
紅茶やウーロン茶は茶葉を発酵させているため、他の発酵食品と同じく体を温めます。また、温かい飲み物を飲むと内臓が温まり、全身が温まります。
うどんやスープ、鍋は体が温まるだけでなく、野菜やたんぱく質を一緒に摂れるのでオススメです。水溶き片栗粉でとろみをつけると熱が逃げにくくなり、食べると体が温まります。
免疫力を高める食材を取り入れる
免疫細胞の多くは腸内に存在するため、腸内環境を整えることが免疫力を高めることに繋がります。
腸内環境を整えるためには以下の栄養素を含む食材がオススメです。
・腸内の有害物質や便を排出する食物繊維(野菜、海藻、きのこ、豆類、いも類)
・細胞の主成分であるタンパク質(肉・魚・卵・豆腐)
・腸内の善玉菌を増やす発酵食品(ヨーグルト・納豆・味噌)
ビタミン豊富な冬野菜を食べる
最初に紹介した冬が旬の野菜はビタミンが豊富に含まれているだけでなく、旬の野菜は栄養価も高くなっているので風邪の予防にオススメです。
粘膜を保護し、ウイルスの侵入を防ぐビタミンAは脂溶性ビタミンなので油と一緒に食べるとビタミンが体内に吸収されやすくなります。
ウイルスに対する抵抗力を高めるビタミンⅭは水溶性ビタミンなので水に溶けやすいです。生で食べるか汁もので溶けだした栄養素を一緒に食べると栄養素を逃さず摂取することができます。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、
・冬に旬をむかえる食材について
・寒い冬を元気に過ごすための食事ポイント
・風邪予防にオススメの食材
について解説しました。
旬の食材について知っておくと、普段の食育や栄養士業務の中で活用することができます。
ぜひ、参考にしてください。
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