保育園栄養士として働き始めた人の中には、どのように保育園の食育に携われば良いか分からない方もいるのではないでしょうか?
保育園の食育は、園によって食育への取り組み方や力の入れ方が違ったり、保育士の方が主として行っていたりと様々です。
この記事では
・保育園で食育に取り組む重要性やメリット
・保育園の食育年間計画や指導案の立て方
・保育園での実際の食育への取り組み方
について解説します。
食育についての概要や基本的な考え方を知ることで、自分が働いている園での食育の方法を考えるのに役立ちます。また、保護者の方に食育の重要性やメリットについて説明することで、家庭での食育に繋げることも出来ます。
ぜひ、ご活用下さい。
食育とは?
食育とは、
「食に関する知識と選択する力によって健全な食生活をおくれる人間を育てること」です。
食育を行う4つのメリット
①食べ物を大切にする感謝の心が身につく
毎日の給食の中で「いただきます」「ごちそうさま」と言う習慣は、食に対する感謝の心を育む意味があります。また、食材についての紙芝居やエプロンシアターを行うことで食材の知識を知ることも大切です。野菜の収穫体験や餅つきなどのイベントは、実際に体験することで食材の大切さを体感できます。
②好き嫌いせずに栄養バランスよく食べる習慣が身につく
栄養士による栄養バランスのとれた献立を食べることで、食べながら栄養バランスのとれた食事を学べます。友達と楽しく食べたり完食する経験を積むのも大切です。献立表や給食だよりに3色食品群や栄養について記載することで栄養を考えるきっかけになります。
③食事のマナーをはじめとした社会性が身につく
先生や友達と食事を食べることで協調性やコミュ二ケーション能力の向上に繋がります。正しい食事マナーを身に付けることは一緒に楽しく食事をするためにも必要です。食事中の会話や準備の際のコミュニケーションなどからも人間関係を作る力が育ちます。
④地域の産物や歴史、食文化の理解などが身につく
郷土料理や地域の食材を使った献立を取り入れることで、食べながら食文化に触れることができます。また、行事食は日本の伝統文化に触れることのできる大切な機会です。献立提供と一緒に食材やメニューについての話しをすることでより理解を深められます。
年間計画と指導案を作るポイント
食育計画の形式は園によって様々です。何をどの時期に行うと良いかは、園の保育内容を踏まえた上で立てましょう。食育は保育の一環です。他の職員と連携して園全体で行いましょう。
食育計画の立て方
食育計画は「ねらい」と「内容」から構成されます。
「ねらい」は食育の目標をより具体化したもので、「内容」はねらいを達成するために行う事項です。
「内容」については年齢ごとの特徴と3歳児から以下の5項目を配慮して考えます。
- 心身の健康に関する項目・・・・食と健康
- 人とのかかわりに関する項目・・・食と人間関係
- 食の文化に関する項目・・・・・食と文化
- いのちとのかかわりに関する項目・・・いのちの育ちと食
- 料理とのかかわりに関する・・・料理と食
また、厚生労働省から出ている『楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針〜』 や『保育所における食事の提供ガイドライン』などを参考にするのもオススメです。
年齢ごとの特徴
自分の意思で食べるようになる:0歳児
5〜6か月頃になると離乳食が始まり、母乳やミルクから離乳食を経て固形物を咀嚼・嚥下するようになります。離乳食の内容や進むスピードは一人ひとり違うので、食べている様子や食への興味に配慮しながら進めることが大切です。
口腔機能は口の中で様々な刺激を受けることで発達します。手づかみ食べは、食材の味やかたさ・匂いなど、さまざまな刺激を体験できるので重要です。
自分で意識的に食べるようになる:1歳児
1歳になると手づかみ食べから、スプーンやフォークなどの道具を使って食事ができるようになります。食べさせてもらうのではなく、一口の量を調節して自分で食べる自立食べに向かう時期です。
また、食事のリズムが整う時期でもあるので、3食+おやつをお腹を空かせた状態で食べれるよう、運動やお昼寝の時間など配慮して規則正しい食事リズムを定着させましょう。
食に対する自己主張が強くなる:2歳児
自己主張が強くなり、食に対しても好き嫌いが出てきます。好き嫌いは栄養の偏りに繋がるので、楽しく食事をする雰囲気を作り、嫌いなものを少しでも食べる体験をすることが大切です。
好奇心旺盛で他のことに興味を持ち、食事に集中出来ない子どもも出てきます。食事の時間を決めたり、食事に意識が向くように挨拶や片付けなどを一緒に行うなど食環境を工夫しましょう。
2歳児は話しことばが上達し、大人のまねをする時期です。スプーンやフォークの正しい持ち方を身に付けさせ、食事のマナーや挨拶について声かけを行い、習慣化しましょう。
集団行動を通して学ぶ:3歳児
乳歯が生え揃ってかみ合わせが完成し、スプーンやフォークを上手に使って食べるようになります。自分で食べるものを選び、ひとりで上手に食べることができる、「自立食べ」の完成期です。
また、集団行動を通して食事の楽しさやマナーを学び、友達の影響を受けて好き嫌いを克服したり、道具の使い方が上達する効果が期待できます。
箸の練習は無理に進めようとせず、日常の遊びを通して手先がスムーズに動かせるようになったら移行しましょう。
友達と一緒に食べることを楽しむ:4歳児
4歳を過ぎると食事をしながら会話を楽しめる時期になります。より楽しく食事をするために食事のマナーやルールを守ることを実感することが大切です。一方で、会話に集中して気が散る場合もあるので、雰囲気を壊さず食事に集中出来る環境作りを心がけましょう。
食に興味を持ち体験する:5歳児
基本的な生活習慣が確立され、食事も楽しく会話しながらスムーズに行うことができます。会話力が発達し、協調性が生まれるので、農業体験や調理体験などさまざまな食体験をするのに適した時期です。
また、家庭での手伝いは家族とのコミュニケーションが増えることや役に立つ喜びを得ることができるので積極的に促すようにしましょう。
実際の食育の取り組み方
楽しく学ぼう!エプロンシアター
エプロンシアターとはエプロンを舞台とした人形劇です。子どもと向き合うため、表情や声が紙芝居よりも伝わります。物語の世界を楽しみながら、知識が身に付くのでオススメです。また、特定の食材について話をする時は、食べる前に行うことで食べる意識が高まり、苦手なものでも食べようとする気持ちが生まれます
作って学ぼう!クッキング教室
クッキング教室をする目的は以下の4つです。
- 食材への興味を深める
- 料理の手間を知ることで料理を作る人への感謝する
- 調理や片付けの方法を学ぶ
- みんなで協力して作ることで協調性を学ぶ
このように様々な効果が期待できるクッキング教室。活動計画を立てるときは、季節の食材や行事などを意識しながら年齢に応じたメニューにすることが大切です。
食材に感謝を持とう!農業体験
田植え体験や野菜の収穫などをすることで、食材に対する興味を高め、食べる意欲に繋がります。また、菜園やプランターで自分達で野菜を育てることもとても大切な体験です。種まきや水やりを通して野菜の成長を実感することで、毎日の食事に感謝の気持ちを持てたり、苦手な野菜などにも興味を持つきっかけにもなるでしょう。
行事食や日々の献立も食育のひとつ!
子ども達が日々食べている給食も食育に繋がります。毎日同じ時間に規則正しく食事をすることや自分の適正量を把握して食べることはとても大切です。また、行事食や季節のメニューによって、日本の食文化や旬に触れることもできます。
まとめ
いかがでしたか?
今回は
・保育園で食育を行うメリット
・保育園の食育年間計画や指導案を立てるポイント
・保育園で行っている食育について
を解説しました。
保育園で行う食育は、子ども達のその後の生活に欠かせないものです。
食育を行うメリットや年間計画や指導案の立て方をきちんと把握することで、栄養士として他の職員や保護者の方と協力・連携して食育を行うことができます。
ぜひ、参考にしてください。
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